銀行、個人即日融資を停止 来年1月 カードローン縮小へ
2017/9/15付・日本経済新聞朝刊によると
銀行の行っているカードローンなどの個人向け融資で審査を厳格化し、警察庁のデータベースの紹介を行うため、即日融資を停止するとのこと。
国内の銀行各行はカードローンなど新規の個人向け融資で審査を厳しくする。来年1月から警察庁のデータベース(DB)への照会で審査に時間をかけ、即日の融資を停止する。家族らの申し出で貸し付けを自粛することも検討。銀行カードローンは利便性の高さを売りに急膨張してきたが、過剰貸し付けとの批判もあった。銀行の営業は転機を迎え、融資残高の伸びが抑えられる可能性が出てきた。
銀行カードローンは、消費者が無担保で使い道を限定せずに借りられる融資。24時間、ネットでも申し込める利便性から利用が急増。融資残高は3月末時点で約5兆6千億円と5年で約7割増えた。だが、自己破産の申し立てが増えるなど、利用者の返済能力を超えた貸し付けが広がっているとの批判がある。
各行は暴力団構成員など反社会的勢力との取引を断つ狙いもあって、カードローンなど新規の個人向け融資の審査方法を見直す。
全国銀行協会が預金保険機構を介して各行と警察庁を専用回線でつなぎ、利用者に問題がないか調べる。預金口座の開設や法人向け融資は対象外とする。
警察への照会には時間がかかり、結果が判明するのは最短で翌営業日、場合によって1~2週間かかる。銀行は審査結果の提示から融資契約までの速さを競い、カードローンは即日対応を売りにしてきたが、事実上そうした営業は不可能になる。大手行幹部は「営業戦略を抜本的に見直さざるを得ない」と話す。
銀行からすれば、傘下や提携の消費者金融のノウハウを借り受け、実質の審査は提携会社が行うというスキームであり、ある意味右から左に流すような形で利益を上げていたわけですから、それが大きく減速するのは手痛いところでしょう。
しかしながら、もともと消費者金融の自己破産の問題などで、総量規制という貸し付けの総額を規制する制限が設けられたにもかかわらず、ほぼ同様の貸し付けの形であるにもかかわらず、銀行は貸金業規制法に縛られないということで、総量規制以上に貸し付けを普通に行っていたわけですから、こういった批判が出て方向転換をせざるをえなくなることは、当然の事でしょう。
提携の消費者金融が行う審査自体、返済不能になる人の割合を換算しての貸し付けなわけですから、貸付残高が増えれば自己破産する人も増えるというのも当たり前の結果ですので、方向転換を図らざるを得ない未来が来ることは織り込み済みなだったと思います。
それまでの間にいかに儲けを出せるかといった部分もあり、こぞって各行が力を入れていたということでしょう。
5年で7割増えたとのことですから、織り込み済みの返済不能者や自己破産も同様に増えていったことは想像に難くなく、審査の厳格化によってユーザーがどの程度借り入れ可能なのかということで、今後の業界の状況を変えていきそうです。